驚異的な速度で普及するキャッシュレス
paypay、そしてLINEpayといったここ最近の100億円規模の還元キャンペーンによるキャッシュレスの普及。
読者の皆様も記憶に新しい「キャッシュレス新時代」の到来をつげる現象だったのではないだろうか。
元をたどればキャッシュレスというのは電子マネー(suicaやWAONなど)から普及していたものの、ここまでのマーケティング費用の加熱を伴った普及ではなかった。
では、なぜ今になって急にQRコード決済という形でのキャッシュレスの普及が促進されはじめたのだろうか。
社会的な経済効果という部分で考えれば、現金の流通が低下することによる各種経費の削減が考えられるだろう。たとえば各種金融機関や付随する業務と機械の削減などにより兆円単位での経費削減効果があるとされている。
また小売店などの会計では現金を数えることがなくなるなど、心理的なストレスなども軽減されたり、マネーロンダリング防止という効果もある。しかし果たしてそれだけなのだろうか。
近未来の1強になるための100億円
まず、100億円というような莫大な費用をかけてまでもここ最近QRコード決済が普及されようとしている理由は、勝者総取りの法則があるからだ。
たとえばクレジットカード。読者の皆様もクレジットカードを財布に10枚入れている人はいないだろう。多くて5枚、通常なら2枚程度ではないだろうか。
これはQRコード決済にもいえる。QRコード決済も最終的には2−3社に大手プレイヤーは収束していくのだ。その2−3社に入るためのマーケティング予算を現在は支払っている段階と言える。
また、この勝者となるには早い段階でそのポジションをとる先行者総取りの法則も考慮する必要がある。ゆえに先行者となるために世の中でまだQR決済が普及していない早い段階で莫大なマーケティング予算をかけているのだ。
SNSに無いリアルのデータを集めるための100億円
そしてその勝者となった企業が手に入れるものがある。それはリアルの購買データだ。
たとえば、ツイッターやインスタグラム。これらは個人の興味や現在地、そして年令や性別といった属性データは取得できる。しかし実際に何を買ったのかということまでは体系的には情報を吸い上げることができない。
ところが、とあるOLがQRコード決済アプリによりコンビニでカフェオレを買ったとしよう。するとそのOLが実はSNS上では低糖質ダイエットを実践している発言をし、サラダを食べている写真をアップしているにも関わらず、実は糖分が好きで摂取しているということがわかってしまう可能性があるのだ。
これは建前と本音というごく当たり前ことなのだが、マーケティングデータとしてはアマゾンや楽天にしか蓄積されていない貴重なデータである。
さらにこの購買行動の際に、アマゾンや楽天にはわからない購買時の位置情報というものもQR決済アプリに吸い上げられることになる。そしてそのアプリはいろいろな類似商品や近隣店舗の広告を出し、あなたの広告に対する反応の良し悪しを確かめるだろう。
そして、あなたが購買行動に移ろうとする際にQR決済アプリ内にある現金が不足していたらどうだろうか?従来はお金がなければ銀行に行ったり、カードのリボ払いで対応していた。しかし当然QR決済アプリでは、瞬時にその人の信用データを判断し、現金を貸し付けることも可能になる。信用データは、今まであなたがアプリに蓄積してきた購買行動から用意にあなたの借金に対する返済能力を導き出せるのだ。
このようにあなたの欲しいものを誰よりも理解し、あなたのお財布の状況を家族よりも理解しているアプリが、あなたに買い物をすすめてくることになる。このような驚愕のアプリになるためにpaypayやLINEpayは莫大なマーケティング予算をかけているのだ。
では我々はどうするべきなのか?
その圧倒的な抵抗できない勝者となったアプリに、欲しいがままに物を買わされるようになる私達は今どうするべきなのだろうか。
1つは「立ち止まって考える」ことだ。本当に今これを自分は欲しいのか、なぜ買おうと思ったのか、それを自分に聞いてみることだ。
もう1つは「今まで買ったものを思い出してみる」ことだ。買ってみて使っていないものや、買ってみたがいらないと思ったものはどれくらいあっただろうか。それを思い出すことで、今買おうとしているものも同じパターンだと気づくかも知れない。
このようにQR決済アプリだけを例にとっても一般消費者が気づかない地殻変動レベルの動きが現在起こっている。これを機に身の回りのいろいろなwebサービスを見つめ直してみることが大切かもしれない。
モデル:まいまいさん
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